土地活用の方法とは?|6つの事業手法と4つの活用形態をわかりやすく解説

land-utilization-methods CHAPTER05 不動産

「使っていない土地があるけれど、アパートを建てるべきか、駐車場にするべきか迷っている」「土地活用の提案を受けたものの、方式の違いがよくわからない」と悩んでいませんか。土地活用には、自分で建物を建てる方法から、業者や信託銀行に任せる方法、土地を貸すだけの方法まで、さまざまな選択肢があります。違いを知らないまま契約すると、思ったより収益が残らなかったり、長く土地を使えなくなったりしかねません。

本記事では、自己建設方式・事業受託方式・土地信託方式・等価交換方式・建設協力金方式・定期借地権方式の6つの事業手法と、アパート・マンション、オフィスビル、駐車場、ロードサイド店舗の4つの活用形態の特徴、さらにマスターリース契約とサブリース契約の注意点をわかりやすく整理します。読み終えるころには、それぞれの方法のメリットとデメリットを比べて、自分の土地に合った活用法を考えられるようになります。

土地活用は、「お金を誰が出し、誰が運営し、何を受け取るか」を押さえれば、決して難しくありません。まずは、6つの事業手法から一緒に確認していきましょう。

土地活用の6つの事業手法|自分でやるか、任せるかで変わる

自己建設方式と事業受託方式は「全部自分でやるか、業者に任せるか」

自己建設方式は、土地の所有者が自分で建物を建て、賃貸業まで行う方法で、事業受託方式は、所有者が資金を用意し、土地活用のすべてを業者に任せる方法です。 どちらも建物の建設資金は所有者が負担しますが、企画や運営を誰が担うかが違います。

自己建設方式では、企画から資金調達、建物の建設、入居者の募集や管理まで、すべてを所有者自身が行います。収益はすべて自分のものになるため、うまくいけば収益性が高いのが最大のメリットです。 その反面、すべて自分でやらなければならないので手間がかかり、建築や賃貸経営の専門知識も必要になります。一方、事業受託方式では、所有者が資金調達をしたうえで、企画や建設、完成後の管理・運営までをデベロッパー(開発業者)に任せます。賃料は所有者が受け取るので、専門知識がなくても土地を活用できますが、そのぶんデベロッパーに報酬を支払う必要があります。

たとえば、駅から徒歩8分の土地を持つ60歳の会社員が、アパートを建てようと考えたとします。建築会社の選定や融資の交渉、入居者の募集まで自分でこなす自信があれば、自己建設方式で収益をまるごと手にする道があります。しかし、本業が忙しく賃貸経営の経験もない場合は、報酬を払ってでもデベロッパーに任せる事業受託方式のほうが現実的でしょう。同じ土地でも、所有者の知識や時間によって向いている方法は変わります。

自己建設方式は「全部自分でやる」、事業受託方式は「資金は自分、運営は業者におまかせ」と覚えておきましょう。

土地信託方式は信託銀行に任せて信託配当を受け取る

土地信託方式は、土地を信託銀行に信託し、信託銀行が企画や資金調達、建物の建設を行い、土地の所有者は信託配当を受け取る方法です。 事業受託方式と違い、資金調達まで信託銀行が担う点が特徴です。

信託期間中は、土地の所有権が信託銀行に移ります。ただし、信託が終了すると、土地と建物はそのまま元の所有者に引き渡されます。 所有者にとっては、専門知識がなくても土地を活用できるのがメリットです。一方で、信託配当からは信託報酬が差し引かれます。また、信託配当は運用成果に応じた実績配当なので、収益が保証されているわけではありません。 土地の規模によっては、信託銀行に土地信託を引き受けてもらえないこともあります。

たとえば、都心から少し離れた広い土地を相続した人が、自分では建物を建てる資金も知識もないとします。土地信託方式を使えば、信託銀行がオフィスビルを企画・建設して運営し、所有者は毎年の信託配当を受け取れます。ただし、テナントが集まらず賃料収入が減れば、配当も少なくなります。「信託銀行に任せたのだから毎年決まった金額がもらえる」と考えるのは誤りです。試験でも、収益が保証されるかどうかはよく問われるポイントです。

土地信託方式は、「信託銀行におまかせして、実績に応じた配当を受け取る方法」と覚えておきましょう。

等価交換・建設協力金・定期借地権方式は資金負担を抑えられる

等価交換方式、建設協力金方式、定期借地権方式は、いずれも所有者が多額の借入れをしなくても土地を活用できる方法です。 それぞれ、土地とお金を誰がどう出すかに違いがあります。

等価交換方式は、所有者が土地の全部または一部を提供し、デベロッパーがその土地に建物を建て、完成後に土地と建物の権利を出資割合で分ける方法です。土地の全部を譲渡して、その価額に相当する土地と建物を受け取る全部譲渡方式と、土地の一部を譲渡して、その価額に相当する建物を受け取る部分譲渡方式があります。所有権のある土地のほか、借地権や底地も対象になります。借入金などの資金負担がほとんどない反面、土地をデベロッパーと共有することになります。

建設協力金方式は、入居予定のテナントから保証金(建設協力金)を預かり、建物の建設費にあてる方法です。建設協力金は無利子で貸し付けられるため金利がかからず、テナントが中途解約した場合は、一般的に保証金の返済義務がなくなります。ただし、テナントが撤退したときは、残された建物と保証金の処理が複雑になります。定期借地権方式は、定期借地権を設定して土地を貸す方法で、資金負担や手間はかかりませんが、契約期間が比較的長いため、長期にわたって土地を転用できない可能性があります。

たとえば、評価額1億円の土地を提供し、デベロッパーが3億円でマンションを建てる等価交換なら、所有者は出資割合に応じて全体の4分の1にあたる権利を受け取ります。自分のお金を1円も出さずに、新しいマンションの一部を持てるのです。

借入れを避けたいなら、「等価交換・建設協力金・定期借地権」の3つを比べてみましょう。

土地活用の4つの形態|アパート・オフィスビル・駐車場・ロードサイド店舗

アパート・マンションは需要が安定、ワンルームのほうが収益性が高い

アパート・マンションは、住まいとしての需要がある程度安定しているため、土地活用の形態として最も身近な選択肢です。 専門知識がなくても始めやすいのもメリットです。

住宅は、景気がよくても悪くても人が暮らす場所として必要とされます。そのため、オフィスや店舗に比べて需要が大きく落ち込みにくいのです。一方で、入居者の入れ替わりが多く、そのたびに募集や原状回復、清掃などの管理コストがかかる点はデメリットです。 また、ファミリーマンションよりもワンルームマンションのほうが、一般に収益性が高いとされます。面積あたりの賃料を高めに設定しやすいからです。さらに、アパート・マンションは、駅からの距離や買い物の便利さ、周辺の住環境といった立地が重視されます。

たとえば、大学や駅に近い土地なら、単身の学生や会社員向けのワンルームマンションに安定した需要が見込めます。一方、駅から離れた住宅街の土地で単身者向けの部屋を増やしても、借り手が見つかりにくいかもしれません。そのような場所では、駐車場付きのファミリー向けアパートのほうが需要に合う場合もあります。同じアパート経営でも、立地に合った間取りを選ぶことが、空室を減らすうえで欠かせません。

アパート・マンションは、「需要は安定、ただし管理の手間と立地選びが大切」と覚えておきましょう。

オフィスビルは賃料が高く、駐車場は転用しやすい

オフィスビルは収益性が高い一方で景気の影響を受けやすく、駐車場は法的トラブルが起こりにくく、ほかの用途に転用しやすいのが特徴です。 収益を重視するか、柔軟性を重視するかで選び方が変わります。

オフィスビルは、マンションなどに比べて賃料を高く設定できるため、収益性が高くなります。ただし、借り手の中心は法人なので、景気が悪くなって企業が事務所を縮小すると、空室が増えたり賃料が下がったりしやすい点がデメリットです。 一方、駐車場は建物を貸すわけではないので、借地権が発生しません。そのため、立ち退きをめぐる法的トラブルが起こりにくく、将来、アパートや店舗などほかの用途に転用しやすいのがメリットです。 ただし、機械式駐車場にする場合は、設備を設置するための初期投資が大きくなります。

たとえば、数年後に子どもが家を建てる予定の土地なら、それまでの間は平面の月極駐車場にしておけば、必要なときにすぐ土地を空けられます。アパートを建ててしまうと、入居者がいる限り簡単には退去してもらえません。反対に、都心の商業地で長く安定した高収益を狙うなら、オフィスビルが候補になりますが、景気の波に備えて資金に余裕を持っておく必要があります。

オフィスビルは「高収益だが景気に左右される」、駐車場は「転用しやすく、トラブルが少ない」と押さえておきましょう。

ロードサイド店舗は交通量と広い敷地がカギ

ロードサイド店舗は、幹線道路沿いのファミリーレストランなどのように、車で訪れる客を見込んだ店舗に土地を活用する形態です。 交通量の多い道路沿いであれば、高い収益が見込めます。

車で来店する客が中心なので、道路の交通量が売上に直結します。テナントにとって魅力的な立地であれば、高い賃料でも借りてもらえるのです。また、建設協力金方式を使えば、テナントから預かった保証金で建物を建てられるので、所有者の初期投資が少なくてすみます。 テナントは自ら資金を出して建物を建てているため撤退しにくく、安定した収益が見込めるのもメリットです。一方で、来店客のための駐車場が必要になるので、広い敷地がなければ成り立たないのがデメリットです。

たとえば、郊外の国道沿いに広い土地を持っている人が、ドラッグストアの出店を打診されたとします。建設協力金方式で建物を建てれば、自己資金をほとんど使わずに毎月の賃料収入を得られます。ただし、ドラッグストアの仕様に合わせた建物は、ほかの業種に貸そうとしても使いにくいことがあります。建設協力金方式の建物は、テナントの仕様に合わせた構造になるため、用途の汎用性が低くなりやすいのです。

ロードサイド店舗は、「交通量の多い道路沿いの広い土地なら、安定収益が見込める」と覚えておきましょう。

土地活用で迷いやすいポイント|サブリースと方式の取り違え

マスターリース契約とサブリース契約のしくみ

マスターリースとは、サブリース業者が賃貸建物の所有者から建物を一括して借り上げることで、このときの賃貸借契約をマスターリース契約といいます。 一方、サブリースとは転貸のことで、サブリース業者と入居者の間の賃貸借契約をサブリース契約といいます。

アパートを建てたあと、所有者が自分で入居者を一人ずつ探して契約するのは大変です。そこで、サブリース業者が建物全体をまとめて借り上げ、各部屋を入居者に転貸するしくみが使われます。所有者から見ると、契約の相手はサブリース業者だけになり、入居者との細かなやり取りを任せられます。 「一括借上げ」と呼ばれることもあります。契約が2段階になっていて、所有者とサブリース業者の間がマスターリース契約、サブリース業者と入居者の間がサブリース契約です。

たとえば、10戸のアパートを持つ所有者が、サブリース業者と月70万円のマスターリース契約を結んだとします。サブリース業者は、各部屋を月8万円で入居者に転貸し、満室なら月80万円の賃料を受け取ります。所有者は空室があっても契約どおり70万円を受け取り、差額の10万円がサブリース業者の取り分になります。所有者は手間とリスクを減らす代わりに、賃料の一部を手放していると考えるとわかりやすいでしょう。

マスターリースは「所有者とサブリース業者」、サブリースは「サブリース業者と入居者」の契約と覚えておきましょう。

一括で貸しても宅建業の免許は不要、ただし賃料は減額されることがある

賃貸建物の所有者がサブリース業者に建物を一括で貸す場合でも、所有者は宅地建物取引業の免許は不要です。 自分が所有する建物を自分で貸すことは、宅地建物取引業にあたらないからです。

宅地建物取引業の免許が必要になるのは、不動産の売買や交換、その代理や媒介、貸借の代理や媒介を、業として行う場合です。自ら所有する建物を貸す行為はこれにあたらないため、相手がサブリース業者であっても免許はいりません。もう一つの大切なポイントが賃料の扱いです。マスターリース契約で賃料が保証されている場合でも、経済事情の変動などがあれば、所有者はサブリース業者から賃料の減額請求を受けることがあります。 借地借家法によって、借主であるサブリース業者にも賃料減額請求権が認められているからです。

たとえば、「30年間家賃保証」とうたうサブリース契約でアパートを建てたとしても、周辺に新しいアパートが増えて相場が下がれば、サブリース業者から賃料の引き下げを求められる可能性があります。その結果、ローンの返済計画が狂ってしまうケースもあります。「保証」という言葉だけで安心せず、賃料の見直し条件や契約期間、解約の条件まで確認しておくことが大切です。

サブリースは、「免許は不要、ただし保証賃料でも減額されることがある」と覚えておきましょう。

事業受託方式と建設協力金方式を取り違えない

事業受託方式と建設協力金方式は、どちらも業者やテナントが関わるため混同しやすいですが、建設資金を誰が出すかで見分けられます。 事業受託方式は所有者が資金を調達し、建設協力金方式はテナントからの保証金を建設資金にあてます。

試験では、「事業受託方式は、土地所有者が入居予定のテナントなどから貸与された保証金や建設協力金を建設資金にあてて、ビルや店舗などを建設する方式である」という文章がよく出てきます。これは建設協力金方式の説明なので、誤りです。 事業受託方式は、所有者が資金を用意したうえで、企画や運営をデベロッパーに任せる方法でした。また、土地信託方式では資金調達も信託銀行が行い、等価交換方式では土地を出してデベロッパーに建物を建ててもらいます。方式ごとに「誰がお金を出すか」「誰が運営するか」「所有者は何を受け取るか」を整理しておくと、取り違えにくくなります。

たとえば、次のように一言で整理できます。自己建設方式は「お金も運営も自分」、事業受託方式は「お金は自分、運営は業者」、土地信託方式は「お金も運営も信託銀行、自分は配当」、等価交換方式は「土地を出して建物の一部をもらう」、建設協力金方式は「テナントのお金で建てて賃料をもらう」、定期借地権方式は「土地を貸して地代をもらう」です。6つを並べて比べると、違いがはっきりします。

事業手法は、「お金・運営・受け取るもの」の3点で見分けましょう。

▼ 次に読みたい記事

不動産投資の利回りは3種類|計算式と投資判断の指標をわかりやすく解説
不動産投資の利回りをわかりやすく解説。表面利回り・実質利回り(NOI利回り)・キャッシュ・オン・キャッシュの計算方法と、DCF法のNPV法・IRR法、DSCR、デュー・デリジェンス、レバレッジ効果の条件を具体例で整理します。

まとめ|土地活用は手間・資金・リスクのバランスで選ぼう

土地活用の事業手法と形態のポイントを振り返り

土地活用の方法は、自己建設方式、事業受託方式、土地信託方式、等価交換方式、建設協力金方式、定期借地権方式の6つの事業手法に分けられます。 自分でやるほど収益は大きくなりますが、手間や専門知識、資金の負担も大きくなります。

土地信託方式の配当は実績配当で、収益は保証されません。等価交換方式は資金負担がほとんどない代わりに土地を共有し、建設協力金方式は無利子の保証金で建てられる一方、テナント撤退時の処理が複雑です。活用の形態では、アパート・マンションは需要が安定、オフィスビルは高収益だが景気に左右され、駐車場は転用しやすく、ロードサイド店舗は広い敷地が必要です。 サブリースでは、所有者に宅建業の免許は不要ですが、保証賃料でも減額請求を受けることがあります。

たとえば、資金も知識もない人が収益の保証を求めて土地信託方式を選ぶと、期待とのずれが生まれます。逆に、借入れをしたくない人には、等価交換方式や定期借地権方式が候補になります。それぞれの方法の長所と短所を知っておけば、勧められた提案が自分に合っているかどうかを判断しやすくなります。

土地活用は、「6つの事業手法×4つの形態」の組み合わせで考えましょう。

自分の土地に合った活用法を考えるステップ

土地活用を考えるときは、いきなり建物の種類を決めるのではなく、土地の条件と自分の状況を整理するところから始めましょう。 順番に考えることで、無理のない選択がしやすくなります。

まずは、土地の立地や広さ、接している道路、周辺の需要を確認します。次に、自分がどれだけ資金を出せるか、どのくらい手間をかけられるか、将来その土地を別の用途に使う予定があるかを考えます。そのうえで、事業手法と活用の形態を組み合わせ、複数の会社から提案や見積もりを取って比べることが大切です。 サブリースや建設協力金などの契約を結ぶ場合は、賃料の見直しや中途解約の条件も必ず確認しましょう。

たとえば、駅近の土地で借入れにも抵抗がなければアパートやマンション、数年後に使う予定がある土地なら平面駐車場、国道沿いの広い土地ならロードサイド店舗というように、条件によって候補は絞り込めます。土地を売ったり買ったりするときのルールについては、不動産取引の基本ルールの記事もあわせて確認しておくと安心です。

自分の土地と状況を整理してから、納得できる活用法を選んでいきましょう。

タイトルとURLをコピーしました